TOPへ

ブログ

「お鮨」は片頭痛の薬になる!

Dr.丹羽の頭痛コラム

新型コロナウイルスが世界的流行になる前にテレビ朝日の「日本人の3割しか知らないこと ハナタカ!優越館」に出演させて頂きました。この際にデートの時の食べ物として「お鮨」が最適とお話をしました。なぜ、片頭痛の方には「お鮨」が良いのか?と患者さんや様々な方から質問を頂戴します。明らかなエビデンスがある訳ではないのですが、「お鮨」が片頭痛患者さんに良い理由を説明します。
気のおけない方や彼氏、彼女、ご夫婦など好意のある方との食事は愛情ホルモンであるオキシトシンがたくさん放出されます。オキシトシンは既に米国では片頭痛治療薬として市販されているホルモン療法です。
もう一つ、確実に片頭痛患者さんに効くホルモンがあります。これがセロトニンです。セロトニンは脳の縫線核というところから放出されますが、リズミカルな運動や良眠で増えるホルモンです。最近の「キレる」子供の多くはセロトニン不足が原因とも言われています。
残念ながら食事からセロトニンを摂取することは不可能なのです。ですが、セロトニンを体内で生成するために必要不可欠なものがあります。アミノ酸の一つである「トリプトファン」です。トリプトファンは体内では生成できませんので食事から摂取するしかありません。おおよその目安ですが、体重1kgあたり2mgが1日の必要量となります。トリプトファンは動物性タンパク質(BCAAというアミノ酸を含んでおり、トリプトファンを脳内へ取り込みを抑制する)より植物性タンパク質から摂る方が良いのですが、動物性タンパク質も炭水化物、ビタミンB6を一緒に摂取するとトリプトファンの脳内取り込みがアップします。
トリプトファンを多く含む植物性タンパク質には豆腐・味噌・醤油などの大豆製品、牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、米などの穀物があります。
トリプトファンを多く含む動物性タンパク質には
鮭・カツオ・マグロの赤身、豚ロース・鶏胸肉があります。
炭水化物といえば、ご存知の通り、米・玄米などの穀物、いも類、果物です。
ビタミンB6は鮭・サンマ・サバ・イワシなどの魚類、レバーや鶏胸肉・ささみなどの脂身の少ない肉類、酒粕や抹茶・粉茶に含まれています。
更にお酢にも注目です。お酢には酢酸、クエン酸、アミノ酸が含まれており、ダイエットに効果があると言われています。 酢酸には脂肪の蓄積を抑える効果があります。クエン酸で体内の脂肪をエネルギーに変えて消費し、アミノ酸で脂肪の燃焼を促す効果が期待されています。また、アミノ酸とクエン酸には疲労回復の効果があります。急激な血糖の上昇や低下は片頭痛には良くないのですが、お酢には食事をとることで急激に上がってしまった血糖値を抑える効果があります。更にお酢酢に含まれる酢酸には、腸内の悪玉菌の増殖を抑えるなど、腸内環境を整える効果があります。
これでお分かり頂けましたか?
日本人にとって「お鮨」は高級品、デートでチョイスして喜ばれることがあってもガッカリはされません。これだけでもセロトニンはアップします。そして、トリプトファン・ビタミンB6・炭水化物のトリプルコラボの塊ですから更にセロトニンはアップします。
ちなみに自宅で簡単にセロトニンを増やせる食べ物として、バナナや甘酒があります。
バナナにはトリプトファンは100g中15mgしか含まれていませんが、ビタミンB6、炭水化物を含んでおり、イライラ時や小腹が空いた時には良い食べ物と言えます。また、甘酒にもトリプトファン、ビタミンB6、糖質が全て含まれており効果的です。ちなみに甘酒は米麹から作られたものをお勧めします。本来は冷たくして飲む甘酒ですが、体温を1℃上げると代謝率も10~12%上がりますので、冬には暖かい甘酒もお勧めですが、あまり熱くすると甘酒に含まれている消化酵素を壊してしまいます。米麹の甘酒には腸内に善玉菌を増やす作用があり免疫細胞を活性化し、また、米麹に含まれる「ペプチド」には血圧の上昇にブレーキをかける作用があります。
緊急事態宣言が5月末まで延長されてしまいましたが、お鮨とバナナ、甘酒で頑張りましょう!