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「新型コロナ感染症と脳神経症状」

Dr.丹羽の頭痛コラム

昨日、2020/4/7に新型コロナに対する緊急事態宣言が発令され、5/6まで百貨店などは全て休館となってしまいました。
新型コロナ感染となると、肺炎→人工呼吸器→体外式膜型人工肺(ECMO)がすぐに連想されがちですが、新型コロナ(COVID19)感染による重症例では、脳神経系合併症の報告も急増しています。
急性の脳症、てんかん発作、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)、頭痛、意識障害、骨格筋障害などが報告されています。
急性の脳症では、米ミシガン州で3/19に航空会社に勤務する58歳の女性が、パニック障害や方向感覚の欠如、頭痛、意識不明などの状態で救急搬送され、インフルエンザ脳症やヘルペス感染、西ナイル熱などのウイルスについても調べましたが原因がつかめず、3日かけて新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたという報告です。この患者さんは視覚や聴覚、運動などをつかさどる「視床」という部位にも壊死(その部分が死滅して機能しない)が起きており、側頭葉の血管までが破裂して出血していることがわかりました。
これには「新型コロナウイルスが原因で、急性壊死性出血性脳症」という難しい診断がつきました。
このミシガン州の大病院で、当初、急性脳炎を疑っていた医療チームは、免疫機能が暴走して、自身の体にダメージを与える「サイトカインストーム」を起こしていると判断しました。サイトカインとは、白血球など免疫系の細胞から分泌されるタンパク質で、ウイルスや病原体の増殖を抑える役目を果たすのですが、免疫系のバランスが乱れて、サイトカインの制御ができなくなると、「サイトカインストーム」といってサイトカインの過剰分泌を起こし、ひどい場合は死に至ることもあるのです。
ここで頭痛持ちの皆さんにご注意頂きたいことは、新型コロナのような急激に増悪する病態の疾患に対して、ロキソニンやボルタレン、ブルフェンなどの解熱消炎鎮痛薬を使用すると「サイトカインストーム」を非常に起こしやすくなる、ということです。
既に皆さんがご存知のCOVID19病初期の味覚・嗅覚障害も、神経障害の一つと考えるべきかもしれません。
最近では頭痛で発症するCOVID19も、欧米のみならず日本でも少なからず見つかっています。
これは私見ですが、ハグの習慣があるイタリア、「うがい」をするという習慣全くないアメリカ、それにも増して、マスクは疫病の時にしかしないと考えている欧米と比べ、我が日本ではマスクは当たり前、素手で物を摂取するときの手洗いも当たり前ですから、4/7にわざわざ緊急事態宣言を発令しなくとも、日本人のmentalityの高さを考えますと4月末位には収束こそしないながらも、COVID19はある程度頭打ちで減少してくるのでは?と考えています。
是非、手洗い・うがいを励行して、この危機を乗り越えましょう!