あなたの頭痛は大丈夫?
日本で片頭痛は840万人以上、緊張型頭痛に至ってはその倍以上、慢性頭痛は約4000万人と推測されており、3人に1人の割合で慢性頭痛に悩んでおり、立派な国民病と言えます。
しかし、驚く事に約75%の方は一度も片頭痛という診断を受けていません。
これには診る医師の力不足、インターネットの普及による安易な自己判断、薬局で購入出来る市販の鎮痛薬の販売競争に皆さんが巻き込まれていることなどが原因していると考えられます。あくまでもこれは私見ですので、抗議のご連絡は…です。
悲しいかな、頭痛は自分にしか解らないものなので、どこかから出血していたり、39.0℃以上の発熱よりも辛くても、周りの人にはわかってもらえません。
医師側の問題は、頭痛が辛くて医療機関を受診し、高い検査費用を払ってCTやMRIを撮っても「問題ありません。ただの頭痛です。」で終わり。
確かに恐い硬膜下・硬膜外出血、くも膜下出血、脳腫瘍などは否定できたのかもしれませんが、ただの頭痛って何?
国際頭痛分類(ICHD-3β)では、頭痛はなんと350種類以上に分類されているんです??
あと、片頭痛を偏頭痛と記載する医師もどうかと。今の時代、片頭痛という字以外は存在しませんからね。
次にインターネットの普及ですが、確かに「頭の横がズキズキ」が片頭痛、「頭の後ろの重い感じ」が緊張型頭痛なのですが、後頭部が重いだけの片頭痛もありますので、そんなに診断は簡単ではありません。(この事に関しては、また別のコラムでお話します。)
ちなみに1分で治る…、これさえ飲めば…とか、怪しいブログもありますけど、それは置いておきましょう??
問題なのは市販薬ですね。確かに上手く服用すれば、とても良い薬です。ただ、我々医師が処方する鎮痛薬は単一鎮痛薬といって一成分しか入っていない鎮痛薬ですが、市販薬はほとんどが複合鎮痛薬、つまりアセトアミフェンやイブプロフェンなどの鎮痛薬に習慣性となるカフェイン、催眠作用のあるブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素が入っており、頭痛に対して効果差はないものの単一鎮痛薬は15日/月以下ならば乱用にならないのに対し、複合鎮痛薬は10日/月以上で薬物乱用性頭痛に陥ってしまうという落とし穴が隠されています。
確かに頭痛は治れば良いのですが、くれぐれも様々な飛び交う情報に惑わされないで下さい。