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アロディニアって何?

Dr.丹羽の頭痛コラム

アロディニア(異痛症)と呼ばれる聞きなれない現象が片頭痛患者さんにはとても重要な意味を持ちます。片頭痛患者さんのアロディニアは頭部・顔面に多く、わかりやすい例を挙げますと、「そよ風が冬の木枯らしの様に頬が痛く感じる」、「髪をとくと、針で刺した様に痛い」、「化粧ブラシでも顔面がビリビリする」、その他、「水で手を洗うと、氷水の中に手を入れた様に痛い」などなど、普通なら感じない程度の皮膚に触れた感覚でも刺激を痛みとして感じてしまう症状を指します。このアロディニアは片頭痛患者さん、特に片頭痛に永く悩まされている方や慢性片頭痛(15日↑/月の頭痛発作があり、8日/月は片頭痛発作)の方の40~70%にも認められます。
アロディニアは簡単に言えば、痛みの感受性が高まる(医学には痛みの閾値が低下すると言います)ことで、顔の感覚を脳に伝える三叉神経が片頭痛によって刺激され、顔面の感覚や頭皮の感覚が過敏状態になってしまうのです。片頭痛発作のピーク辺りから認めやすいと言われています。
ここでようやく、前回のコラム、「以前はトリプタンが良く効いていたのに、最近はタイミング良く服用しても効かなくなってきた。トリプタンは、もう効かないの?」にたどり着きました。コラム46&47で取り上げました"薬物乱用頭痛"、トリプタン製剤を10日↑/月で3ヶ月以上服用している方は、トリプタン製剤が効いていようがいまいが、頭痛専門医に相談をされて下さい。
アロディニアを経験したことがない片頭痛患者さんは、今まで効いていたトリプタン製剤が効かなくなることは薬物乱用頭痛でない限り、ほぼありません。しかし、アロディニアが片頭痛発作時に出でしまうとトリプタン製剤はほとんど効かなくなってしまいます。ハーバード大学の調査でも、アロディニアを経験したことがない片頭痛患者さんは90%以上でトリプタン製剤が効くのに対し、アロディニアを経験したことがある片頭痛患者さんではアロディニアが出現した後にトリプタン製剤を服用しても10%程度の患者さんにしか効果が出なかったと報告しています。
トリプタン製剤は高価な薬剤ですから服用を躊躇してしまうことが多々あるかと思いますが、アロディニアが出現してしまうと高価なトリプタン製剤が効かなくなる可能性が高いのです。
アロディニアを経験したことがある片頭痛患者さんは、予兆期が過ぎ片頭痛発作が始まったら、すぐにトリプタン製剤を服用して下さい。そうすれば、トリプタン製剤の効き目が出るはずです。