コロナ過も加わり、これからが旬の後頭神経痛
以前にコラム42で「大後頭神経痛」を少しだけ紹介させて頂きましたが、大後頭神経痛は後頭神経痛の一つで、最近では小後頭神経痛や大耳介神経痛で困っていらっしゃる方がコロナの影響というか在宅ワークによって、最近、急増しています。
「スマホ首」と当たり前の様にいわれている首の極度の前屈(ストレートネックもほぼ同様です)やテレワークが増えたことが大きな一因と考えられる後頭神経痛について説明します。
以前は片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3大頭痛に加えて、4大頭痛・第4の頭痛として後頭神経痛がもてはやされました。
後頭神経痛は頭痛というよりも末梢神経ダメージの神経痛の一つで、①大後頭神経痛、②小後頭神経痛、③大耳介神経痛の3種類があります。それぞれ痛む場所が違うだけで、痛みの質や程度は同様です。
特徴としては
①片側の首(両側面同時には起きません)から後頭部・頭頂部にかけてのチクチク、キリキリ、ズキズキとした激痛
②ビリッと一瞬電気が走るような痛みを繰り返しますが、痛みがないときはスッキリしています。
③ 神経痛は一度起きてしまうと、数日から数週間続いてしまいます。
④一度起こると、急激な首の前・後屈や回旋で神経痛が起きてしまいます。
⑤ヘアブラシで髪を溶かした時や神経痛がひどい時は頭皮に触れただけで痛むことがあります。痛みの強い方は、皮膚表面の神経痛のため、枕に後頭部が触れるだけで辛く不眠に悩まされることもあります。
⑥雨の日の前日に多いのも特徴です。そして、雨が降ると治ってしまいます。
大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経の3つは、いずれも頭を支える頚部の筋肉の間から皮膚の表面側に出ているため、筋肉による圧迫を受けやすいと考えられています。そのため、テレワークによる猫背の姿勢(これはテレワークに限ったことではなく、加齢に伴う背骨の変形、高校生や大学生などスマホ大好きな人、PSなどゲーム系が大好きお子さんと、どの世代にも起きます)やスマホ首をはじめとする頸椎の変形、精神的なストレス、急激に首を動かした時、気圧の変化(特に雨の前日)などが神経痛の誘因になります。元々、首こりや肩こりが強い方はこの神経痛を起こしやすい傾向にあります。
後頭神経痛が起こる1番の理由は、姿勢の悪さです。現代人はデスクワー クでパソコンを頻用しますが、実はモニターを真正面からではなく、左右どちらかの前方に置いている人が多いのです。そのような方に良く見られるのが、モニターを見るときに体は正面を向いて首だけ捻るといった、ゆがんだ姿勢です。これだと、顔を向けている側の後頭神経は頭蓋骨と頸椎に挟まれ、反対側の後頭神経は引っ張られてしまい、どちらの場合も神経が興奮してしまいます。挟まれた側が痛む人も、引っ張られた側が痛む人もいますが、片側だけ痛む人が多いようです。
要注意なのは稀ですが、帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうのウイルスです)が原因となる事です。帯状疱疹も片側にしか起こらず、湿疹が出現する前に痛み・神経痛が出ることが多いのです。髪の毛に隠れてわかりにくいこともありますが、小さな水ぶくれが片側だけに出てきたら、すぐに皮膚科に行かれて下さい。 後頭神経痛は強い痛み、神経痛の割には危険なものではなく、1週間ほどで自然に治ることが多い神経痛です。
特に多いのは大後頭神経痛で、片頭痛特有のズキズキする感じでもなく、緊張性頭痛(コリ頭痛)特有の鉢巻きをした様に頭が締めつけられるような圧迫感でもない、片側の耳の後ろが痛くなることから始まり、痛む所が日によって違う。さらに痛みが鉢巻きの様な横方向ではなく、後頭部から頭のてっぺん、前頭部へと縦に動く頭痛が「大後頭神経痛」です。
治療はまずは痛み・神経痛の元を短時間、冷やしてみるか冷湿布を貼ってみましょう。長時間は筋肉のコリに繋がってしまうのでNGです。
それでもダメな時は経口薬を処方します。
痛みはピリッから激痛までありますが一瞬ですし、神経痛ですから通常の消炎鎮痛薬は全く効きません。週に2?3回以上の大後頭神経痛が起こるようになれば、大後頭神経は三叉神経と連絡するため、三叉神経痛の特効薬であるカルバマゼピ ン(テグレトール)が有効です。消炎鎮痛薬が全く効かない方もカルバマゼピンを夜 1 錠飲むだけで、翌朝から楽になることが多々あります。
カルバマゼピンが効かない場合は、神経痛の根元に神経ブロックを1回/週程度のペースで数回施行すると大多数の方は良くなります。
専門家を受診することをお勧めしますが、近隣に専門医を見つけられない時は、最も痛みを感じる部位もしくは神経痛の根元を強めに5秒ほど押して離すを数回繰り返すと、神経の興奮が抑えられて痛みが和らぎます。