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トリプタンは万能じゃない?

Dr.丹羽の頭痛コラム

トリプタンって何?とおっしゃる方もいらっしゃると思います。
でも、イミグラン、マクサルト、レルパックス、ゾーミッグ、アマージと聞けば、片頭痛持ちの方には馴染みのある薬ではないでしょうか?
世界には7種類、日本では上記、5種類のトリプタン系薬剤が使用可能です。このトリプタン系薬剤は欧米では1980年から、日本でも2001年から使用が可能となり、片頭痛治療薬としては一大sensationalで、確かにスゴい特効薬です。
ただ、人によっては、動悸やめまい、吐き気、眠気、倦怠感、体の痛みなとどの副作用が出ることがあります。また、飲み始めに、胸やノドのつかえ感・圧迫感を生じることもよくあります。
片頭痛は色々な機序が考えられていますが、最終的には脳内の血管が拡張して痛みが強くなります。
トリプタン系薬剤は簡単に言えば、血管を収縮させて痛みを良くする薬剤なのですが、痛くなり始めに服用しないと効きが悪いという欠点もあります。
当然、血管を収縮させる薬のため、狭心症や心筋梗塞を患われた方は使用できません。先程のトリプタン系薬剤の飲み始めに、胸やノドのつかえ感・圧迫感を感じるのも、狭心症とかではありませんが、食道や咽喉などに循環している血管が収縮するためと考えられています。
また、残念ながらnonresponderといって、トリプタン系薬剤が全く効かない片頭痛持ちの方もいます。
その様な方に朗報です。まだ、日本でも開発段階ですが、片頭痛発作が起きる時はCGRPという痛み物質が出ることがわかっています。このCGRPが血管拡張にも困ったことに血管拡張にも一役買っているのです。
このCGRPを予防的に抑え込むか、CGRPが出て来てしまったら拮抗薬でやっつけられれば、片頭痛の辛い痛みから解放されるのです。
欧米では月に1回だけの注射で、予防的にCGRPを抑え込む治療法が奏効しているようで、日本でも研究・開発が進められています。
幸いにも血管を収縮させる薬剤ではないので、狭心症や心筋梗塞の方でも服用可能な薬となります。トリプタンの副作用が強い方やnonresponderの方にも効果が期待できます。
数年後には使用可能となるかも。