今までに無い頭痛を自覚された場合、多くの方は脳に何かの異常があったのではないか、何か怖い病気にかかったのではないかという事を心配される事と思われます。
頭痛を主症状とする病気には多くのものがありますが、代表的なものとして、くも膜下出血を始めとする脳血管障害や脳腫瘍、中枢性感染症等があります。激しい頭痛がある場合や、頭痛が長引く場合は頭痛専門医の診察を受ける事をお勧めします。
特に急な頭痛で、これまでに経験のないひどい頭痛の場合には、すぐに頭痛専門医を受診してください。命にかかわる危険な頭痛の可能性がありますので。
慢性的に頭痛がある場合や、痛み止めを使用してもあまり良くならない場合には、頭部CT・MRIや副鼻腔、頸椎のレントゲン検査などを受ける事もお勧めします。
眼科、歯科・口腔外科、耳鼻科疾患や貧血、肝機能障害、甲状腺疾患等の内科疾患が原因で頭痛がおこる場合もあります。
脳血管に由来する頭痛の場合には、その経過が非常に診断への参考になります。
くも膜下出血に伴う頭痛の特徴は頭痛が起こり始めてから痛みのピークに達するまでがきわめて短時間であるのに対して、片頭痛の場合には通常は20~30分かかることで区別ができます。
突然頭痛が起こった後、徐々に頭痛の程度が強くなるくも膜下出血もありますので、これまでに経験のない激しい頭痛の場合は、やはり頭痛専門医に御相談ください。さらに、私の経験ですが、それ程強く無い頭痛なので様子を観ていましたがあまり改善せず、ご本人が歩いて受診された方が、実はくも膜下出血であった様な例もありました。
脳底部に病変があると後頭部に、大脳半球の病変では前側頭部に頭痛がおこりやすいとされていますが、必ずしも一致しません。前頭部や眼周囲の頭痛では眼の病気(緑内障等)の可能性もあります。副鼻腔炎(蓄膿症)や副鼻腔周囲・頭蓋底の腫瘍などでも眼周囲、前頭部に頭痛が起こる場合があります。こめかみ~耳介部への頭痛の場合は、ヘルペスウイルスや耳疾患、特殊な病気である側頭動脈炎等の可能性もあります。
脳腫瘍等による頭蓋内圧亢進による頭痛では嘔吐する割には吐き気が軽いことが多いのが特徴です。吐いた後でも普通に食事ができる様な場合には頭蓋内圧亢進による頭痛が疑われます。また、朝、起床後に強い頭痛がある場合にも慢性頭蓋内亢進の事があります。
頭痛に伴って半身麻痺、四肢麻痺、感覚障害や言葉が出にくい(失語)など脳の異常で起こる様な症状がある場合には注意が必要です。
頭痛とこれらの症状の出現順序も重要です。前兆を伴う片頭痛では通常、前兆としての神経症候が消失してから頭痛が起こりますが、脳の器質疾患では同時に起こることが多いとされています。発熱の有無は髄膜炎や脳炎の診断に重要なポインです。
最近数ヶ月以内に頭部を打撲した事があるかも大切です。
慢性硬膜下血腫は頭部打撲後数ヶ月してから症状が出る事があります。常習飲酒者ではご本人の記憶がなくても、酩酊時に頭部打撲をしている事があります。また、高齢者では軽度の頭部打撲で慢性硬膜下血腫を引き起こす事があります。
今までに無い頭痛や頭痛以外に脱力、痺れ、急速に進行する認知症症状がある場合には、ぜひ我々頭痛専門医をご利用くだい。