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何歳から片頭痛って起きるの?

Dr.丹羽の頭痛コラム

片頭痛の発症年齢やその特徴です。人間の一生は胎児期、乳児期、幼児期、小児、成人、高齢と簡単に分けられますが、65歳を過ぎると徐々に女性ホルモンのバランスが変化したり、脳の過敏性が低下するために片頭痛発作は激減します。
では、生後何ヶ月、もしくは何年頃から片頭痛は起きうるのでしょうか?
何と驚くことに生後2ヶ月で片頭痛持ちか否かがわかるという報告を散見できました。まだ喃語(なんごと読みます、生後5ヶ月位になると「アウアウ」とか「バーブー」とか話し始めますよね!)さえ発しない時期に何故、片頭痛持ちか否かわかるのでしょうか?
赤ちゃんには胃腸が不調の時などに通常とは異なる強い泣きをやめない「乳児コリック」という現象があります。コリックとはcolicという綴りで「キリキリと痛む疝痛」の事なのですが、この「乳児コリック」にはヴェッセルの基準というものがあり、泣き行動が1日に3時間以上続く日が週に3日以上あり、それが3週以上持続する場合だそうで、通常は生後6~8週がピークのようです。
カルフォルニア大学で、いわゆる「乳児コリック」があるものの胃腸障害ではない生後2ヶ月の154例のお子さんを検討したところ、抱っこをしたりすると泣き止むどころか、かえって泣きが強くなる赤ちゃんでかつ、母親が片頭痛持ちの赤ちゃんはほとんどが片頭痛だったことが証明されています。成人と異なり赤ちゃんの男女差はなく、片頭痛持ちの母親の方が片頭痛持ちではない母親に比べて2.6倍も高く「乳児コリック」を認めました。
対処法としては生後2ヶ月ですから、非薬物的治療が最優先されるべきで、まずは、音のなるオモチャを遠ざけ部屋を暗くします。可能であれば小さな兄弟やペットも違う部屋にして、臭いを遮断します。泣き方が強い時に抱っこしながら赤ちゃんの身体を振る行動(ねんねんころりよ・・・みたいな)は禁忌で、優しく軽く赤ちゃんを揺らしてあげます。大概はこの方法で良くなるようです。また、母親に母乳をあげる際は母乳内のメラトニンを増やすために薄暗い部屋などの状況下であげるように指導します。これでどうしてもダメな時はアセトアミノフェンを試してみます。イブプロフェンの方がより有効ですが、6か月未満のお子さんには禁忌です。
まさか、生後2ヶ月で片頭痛発作が起きているとは・・・。
ちなみに幼児期になりますと、片頭痛持ちのお子さんははっきりと認識できるようになります。
幼児期でも男女差ははっきりしませんが、頭痛よりもお腹が痛くなる(腹部型片頭痛)ことが多くなり、周期性嘔吐症や発作性のめまいも伴うようになります。また、乗り物酔いしやすいことも特徴の一つです。幼児期は急にお腹を痛がることがあり小児科を受診すると胃腸炎?などと言われて帰宅してお子さんに薬を服用させる頃には、これまた急に元気になり、普通に食事ができます。
6歳位から片頭痛が顕在化しますが、そこにも成人とは異なる特徴があります。
まずは朝に多いこと、両側の前頭部を痛がること、閃輝暗点のような前兆ははっきりしませんが、以前にコラム(79)でお話ししました予兆・・・の中で報告が多い順に全身倦怠感、気分の変調、首コリ、生あくび、集中力低下、めまい(ぐるぐる回るめまい)、記憶力低下、眠くなる、吐き気・嘔吐、お腹の違和感を認めるようになります。また、成人のようにズッキンズッキンという拍動性の頭痛ではなく、何となく頭が痛いだけというケースも少なくありません。そして、コラム(49)でも触れましたように小児の片頭痛はとても短い発作時間(数分から1時間未満)ということも特徴の一つです。
中学生位になると徐々に腹痛は減り、成人型の片頭痛になっていきます。
出世魚みたいと申し上げるとお叱りを受けるかもしれませんが、一生の間でこれだけ症状の変わる疾患も珍しいと思います。
私も未だに片頭痛持ちですが、乳幼児期に上記の様な症状があったか否か・・・?