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国際頭痛学会 in Vancouver(その2)

Dr.丹羽の頭痛コラム

続いては台湾の王先生からの報告です。台湾といっても侮ってはいけません。王先生は国際頭痛学会副会長ですから、頭痛領域では世界のリーダー的存在です。
片頭痛患者さんでトリプタン製剤の中でも、世界で最初に登場したイミグランがどの様な患者様で、より効果が出やすいのかを1856名という多数の患者さんで検討していました。
結果としてolder age(とは言っても、平均40歳の方が36歳より効くという細かな差でした)、反復性片頭痛(頭痛の頻度が14日/月以内)、うつ傾向がない方もしくは軽い方、レギュラーコーヒーの摂取量が1杯/日以上の方などでイミグランが奏効していました。
慢性片頭痛(15日以上の頭痛発作/月)や薬物乱用性頭痛の患者さんにはイミグランは奏効していませんでした。
興味深かったのは、コーヒー摂取とイミグランとの関連です。
片頭痛発作時にカフェイン摂取は血管収縮作用により効果がある事は以前より良く知られていますが、コーヒーを飲み過ぎる(一日5~6杯以上)とカフェインが覚醒時は体内に常に存在し、夜間睡眠時に体内のカフェインがなくなり、そのリバウンドで片頭痛を起こしやすくなる諸刃の剣的存在であると考えられています。
しかしながら、王先生の報告では、コーヒーを全く摂取しない片頭痛患者さんよりも1杯/日以上のコーヒーを飲む片頭痛患者さんの方がイミグランが効くというものでした。
王先生に何故、older ageの方が、コーヒーを摂取している方がよりイミグランが効くのか?を伺うと、「年齢に関しては、年齢を経ても慢性片頭痛や薬物乱用性頭痛にならない反復性片頭痛の方はトリプタン製剤に対する反応性が高いと感じる。また、コーヒーに関しては推測だけれどもコーヒー毎日摂取している方は血管収縮・拡張を毎日繰り返しているので、全くコーヒーを飲まない人より血管収縮の反応性が良くなるのかもね!、コーヒーの摂取杯数とイミグランの効果を詳細に調べて、次の学会で報告する予定だよ」とのお答えでした。