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国際頭痛学会 in Vancouver(その4)

Dr.丹羽の頭痛コラム

片頭痛をお持ちの方は、光や音、臭いに過敏で、これら光や音、臭いが片頭痛発作の引き金となることも知られています。
では、色には過敏性はないのでしょうか?
私はこの数年、色と片頭痛の関係を研究しており、Vancouverでの国際学会で発表をさせて頂きました。
まず、色は難しく言えば、可視光線のことです。
紫外線や赤外線をご存知だと思いますが
波長が短く目に見えない光りが短波長光である紫外線で、波長が長すぎて見えない光りが長波長光である赤外線になります。
人間が見える色とは、波長の短い色から順に紫・青・水色・緑・黄緑・黄色・オレンジ・赤となります。
私共の研究では緑が片頭痛の方には心地よく、青が最も嫌な色、赤も青ほどではありませんが嫌な色でした。
また、緊張型頭痛や群発頭痛の方には、この様な色の過敏性は認められませんでした。
人は光や色を見る時に、特定の形として見る必要はありません。ある空間を明るいと感じ、その空間が、例えば月の光で白っぽく感じたり、夕焼けの光で琥珀色に感じたりする事ができます。人は物を形として見る経路と空間を感じとる経路の2つがあります。光や色は空間を感じとる経路なので、色の過敏性がある片頭痛の方は、必ず光過敏を持っていると考えられていました。と言いますか、この色過敏が片頭痛の方に存在することが明らかにされたのがハーバード大学からの研究報告で、2016年とまだ昨年の事なので、Dr.でさえ、また、頭痛専門医でさえ周知されていないと思います。
私の研究では、光過敏を持たない片頭痛患者さんにも色過敏を持つ方がいるという事がわかりました。人は物を形として見た時は、網膜、視神経、視床下部、視床(中でも後外側核や視床枕)、大脳(特に後頭葉)という経路を使いますが、空間として感じとる時は、網膜、視神経、視床下部、視床(中でも後外側核や視床枕)、脳幹の上丘、手綱核、松果体という大脳を使わない経路を使います。色を感じとる脳内部位は視床の外側膝状体(特に、三つの神経細胞層の関連)が主体をなしています。
光過敏がなく色過敏だけを持たれる片頭痛の方は、私の仮説ですが、空間を感じとる経路の働きが上手くいかないのではなく、外側膝状体内三つの神経細胞層の調節が不調になっていると考えています。
事実、緑は木々の色でもあり、とてもリラックスでき、片頭痛をお持ちでない方でさえ、雑踏の中、木々が周りにあると落ち着くことはないでしょうか?
私は片頭痛持ちですので、夜遅時間に運転をしていて赤信号や青い光の看板などはとても不快に眩しく感じます。逆に青信号、つまりは緑ですが、やはり楽に感じました。
皆さんは如何でしょうか?