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国際頭痛学会 in Vancouver(その5)

Dr.丹羽の頭痛コラム

国際頭痛学会では、色々な医療機器メーカーから頭痛を良くするデバイスのデモが行われています。その中で一際目を引く、米エレクトロコア社のデバイスに関してCo-presidentから伺ったので、ご紹介します。
元々、迷走神経刺激術とは抗てんかん薬だけではコントロールできない難治性てんかんの患者さんのために考案された治療法で、側頸部を走る迷走神経に刺激を入れる機器を首に埋め込む、患者さんに侵襲性のある治療法です。しかし、てんかんが消えてしまえばそれも良いのですが・・・。当初、難治性てんかん患者さんに対する迷走神経刺激術の研究が行われていた時に、てんかんの治療成績云々ではなく、何と難治性てんかん+片頭痛を持っていらっしゃった患者さんの片頭痛が見事に消えてしまうという結果が出ました。そのご、手術で首の中にデバイスを埋め込むのでなく、侵襲なしに皮膚から迷走神経を刺激できないか?と色々模索され、昨年から欧米を中心に、特別なデバイス(写真)を使用した非侵襲性迷走神経刺激術(nVNS)のトライアルが始まりました。簡単に申し上げれば、迷走刺激により、片頭痛を起こす神経核の刺激を抑えて片頭痛を起こさない様にする治療法なのですが、このnVNSは群発頭痛にも効果がある事が証明されつつあります。迷走神経を弱い電流で2分間刺激するだけで痛みが消え、予防効果もあります。実際に片頭痛&群発頭痛持ちの私も迷走刺激をしてみましたが、凄く刺激されているという感じを受けました。驚くことに、片頭痛も群発頭痛もない私のボス(日本人)は何も感じないとおっしゃっていました。
近い将来、日本でも恐らくnVNSの治験が行われる事になると思います。欧米でも服薬にとって変わる治療法の一つとなる可能性が高く、日本でも厚労省が認可する、つまりは数年後に日本で実際に保険治療方の一つとなるであろうnVNSを、片頭痛や群発頭痛をお持ちの方が、まるでスマホの様に様々な場所でお使いになられている様子が目に浮かびました。