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国際頭痛学会2019(Dublin)ーその1ー

Dr.丹羽の頭痛コラム

9/5(木)~9/8(日)にアイルランドで開催された国際頭痛学会で2つの発表をしてきました。
気になる報告がいくつかされていたので、何回かに分けてご紹介します。
まず、ビックリしたのが、今まではとにかく経口薬や注射で何とか片頭痛発作を抑えようとしてきた傾向が、散見する程度ですが「薬なしで頭痛を治す!」に変わってきたことです。
前回の国際頭痛学会2017@バンクーバーの時にもお話ししたと思いますが、米国electroCore社が非侵襲性迷走神経刺激術をgammaCoreというデバイス(コラム59の写真)により片頭痛発作や群発頭痛発作を抑えるというもの(コラム59)です。そのデバイスがさらに新しく小さくなり、より使いやすくなっていました(写真)。
たかが2年しか経っていないのに、欧米では臨床治験が進んでいながらも既にUSAでは片頭痛および群発頭痛に対して保険適応があり、欧州でもUKでは片頭痛に対しては部分的にせよ保険適応が、ドイツでは保険適応はない(自費)ものの治療として導入されているとのことでした。
驚くべきこととして、通常、この様なデバイスは急性期療法(つまりは片頭痛発作時の痛みを止める治療)もしくは予防療法(つまりは片頭痛非発作時に使用することで片頭痛発作を抑える治療)のどちらがmainとなり、両方に保険適応が認められることは非常に少ないのです。
また、妊婦の方への悪影響も現時点ではないとのこと、日本でも臨床治験が始まれば、トリプタン製剤が片頭痛発作時に使えない妊婦、授乳婦さんや妊活をしている方にも予防的に使用することができるので、頭痛領域の治療も前途洋々!と感じました。
Vancouverの時はこれだけでしたが、今回の学会では、その他に2つも非侵襲性の治療が報告されていました。これらについては追って報告します。