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国際頭痛学会2019(Dublin)ーその4ー

Dr.丹羽の頭痛コラム

イタリアのValeniani先生による「Primary stabbing headache(一次性穿刺様頭痛)」、通称、アイスピック頭痛についての報告です。
ズキッ、ズキズキッと痛くなるけどすぐ消えてしまう、でも、何回も何十回も1日の間に起こり・・・という患者さんを経験します。
その様な非常に短時間の頭痛の際、我々はまず、充血と涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCTと略して我々の世界では使う非常に長い病名)と頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNAと略して使う、これまた長い病名)という頭痛を思い浮かべます。しかし、実際にはSUNCTやSUNAに出会うことは多くはありません。でも、ズキッ、ズキズキッと短時間頻回頭痛の方は良く拝見します。軽い頭痛であれば緊張型頭痛や成人であれば大後頭神経痛の可能性も多々あるのですが、このズキッ、ズキズキッが数秒でありながら、とても痛く我慢できない方も中にはいらっしゃいます。この様な時に考えなくてはならない大切な頭痛に「アイスピック頭痛」というものが存在します。
ほんの数秒間しか持続せずと国際頭痛分類には記載されていますが、実際には15分も続くこともあるそうで、それを繰り返す頭痛なのですが、男女差なく4歳半?9歳位に発症し、遅くとも10歳までには初めての頭痛を経験するものの、小児(欧米では18歳以下は小児として扱います)頭痛全体の3~5%にしか存在しないそうです。成人ではやや女性に多く、20~40歳代に認められます。頭のどの部分でも痛くなることがあり、小児では腹痛や背部痛、胸や膝の痛みを同時に伴うことが多いのも特徴とのことでした。
引き金として小児ではストレスと光刺激、成人ではストレス、急激な天候の変化、不眠や疲労などの報告があるそうですが、はっきりとした引き金はないとのことでした。片頭痛や緊張型頭痛と似た状態になる割合は7%しかないにもかかわらず、アイスピック頭痛の47%に少なくとも光過敏性、音過敏性、吐き気、めまいの一つを認めるのも特徴の一つで、最近では、このアイスピック頭痛は実は痛み方が特殊でも片頭痛や緊張型頭痛の前段階、つまりは徐々に片頭痛型や緊張型の頭痛になっていくのではないか?と考えられ始めています。
しかしながら治療としてはトリプタン製剤ほ効果がなく、インドメタシンやセレコキシブという鎮痛薬をはじめメラトニンという眠くなるホルモン、アミトリプチリンという片頭痛予防薬などが効くとの事でした。