TOPへ

ブログ

夏頭痛 

Dr.丹羽の頭痛コラム

これだけ猛暑続きの2023夏、まだ、梅雨さえ開けてはいないものの、本当に酷暑で、頭痛に苦しむ方が増えています。                                  
夏頭痛は「夏バテ頭痛」と「熱中症頭痛」の2つに分けると理解しやすいと思います。
夏バテによる頭痛の主な原因には、冷えすぎ、直射日光、脱水、気候・気圧・湿度があると考えます。
①「冷えすぎ」とは、どの程度のことをいうのでしょうか?
冷房による室内外の温度差は、自律神経を乱し頭痛を引き起こします。頭痛を引き起こす温度差は、室内外の温度差が10℃以上です。
今年の様な猛暑日が多い日では、室内外の温度差は平均10℃以上という調査結果があります。わざわざ体調を壊す、つまり自律神経に負担をかける温度差を作っていることになります。
自律神経が体温調整にエネルギーを費やし、結果的に自律神経機能が低下してしまいます。
何を調べても書いてある、室内ではカーディガンやストールによる体温変化を抑えるのは当たり前です。とにかく室内外の温度差は7℃以下が最低限の目標です。
でも、人によって自律神経系が強い人、弱い人がいるのでは?と思われる方が多いと思います。
簡単な判別法があります。
「あなたは夏でもあまり、汗をかくほうではないですか?」、「あなたは末端冷え性ではありませんか?」、「立ちくらみしやすいですか?」です。
汗をきちんとかけて、冷え性でない方、立ちくらみしたことがない方は10℃以上の温度差にも対抗できる自律神経の持ち主です。
しかし、一つでも当てはまる方は、すでに自律神経系が弱っています。
自律神経を強くする方法はいくつも紹介されていますが、簡単に自律神経を強くする方法があります。
それは入浴です。
単なる入浴ではありません。バスソルトなるものが容易に購入できます。これを少し多めにバスタブに溶かして、ぬるま湯(39〜40℃)で良いので、毎日、最低5分間浸かるだけです。暑いお風呂は禁止です。頭の血管が拡張して片頭痛を起こします。
入浴後に浸透圧(小中学生の時に理科でセロハンによる浸透圧の実験を・・・、忘れちゃいましたよね)により発汗が促進されます。つまり、高い浸透圧である塩分のナトリウム入りのバスタブに浸かることで、入浴後に汗が体内(実際には汗は血管から作られる水分)からジワーッと出てきます。発汗は交感神経の興奮により生じますので、結果として入浴により自律神経が活性化されるのです。
今日からでも実践して下さい。
② 直射日光
炎天下で激しいスポーツ、コロナ5類以降の仕事での外回りなどで汗を沢山かくと脱水状態になり頭痛を起こします。
また、直射日光は網膜に対してもの凄く強い光刺激となり、容易に片頭痛を起こします。
脱水はご存知の通り、スポーツドリンクなどでの水分補給が必要になります。
また、強い日光に対しても暗めのサングラスをみなさん付けられていると思います。
でも、それダメなんです!
サングラスは私が何年も研究しておりまして、国際学会でも何回も報告済みですので、確実なデータがあります。サングラスはまず、室内でも外す必要がない程度の薄いカラー、それも流行りの青や赤は絶対にダメ。この色だけで片頭痛を起こしちゃいます。お勧めは薄めのグリーン、グレー、ブラウン(黄色はダメ、琥珀色はOK)です。これらの色、特に薄めのグリーンは片頭痛発作を軽減する作用さえ持っています。
暗い色がダメな理由は瞳孔が散大(暗く感じるために瞳孔が大きくなる)してしまい、照り返し、例えば、横断歩道の白色の部分やエスカレーターの反射、ガラス窓の反射などの光が散大している瞳孔に入ると一瞬何も見えなくなる位に網膜に光が届いてしまい、これだけで頭痛が発症してしまいます。
③ 脱水
日本の夏のように高温多湿では、汗をかいても簡単には蒸発できないので、良くwebで書かれているように、すぐには脱水状態になりませんが、汗は気持ち悪いもの、皆さんが拭き取ると脳は汗が蒸発したと勘違いして、発汗し続けるのです。
脱水症状の頭痛は、水分が不足することによって、血流が悪くなることが原因です。
最低、1日1.2ℓの水分摂取は励行して下さい。
ただ、単なる水では発汗により失われてしまう塩分の元であるナトリウムがどんどん薄まってしまい、脱水よりもこの低ナトリウム血症の方が意識消失やけいれん発作、頭痛など脳には悪影響なんです。
これは熱中症頭痛で詳しく説明します。
脱水によって血流が悪くなり、十分な栄養や酸素が脳に供給されなくなるため、頭痛が起こってしまいます。
水分補給のタイミングは、喉が渇いてからでは実は遅いのです。喉の渇きがなくとも、運動中は当たり前のこと、寝る前、起床時、入浴の前後は特にお勧めです。
④ 気候・気圧・湿度
よく言われる気象病はこれら気圧・湿度・気温などの変化によって起こる病気のことです。
頭痛や気管支喘息の他、胆石なども気象病の一つで、気象病とは、体調を調整する自律神経が気象の変化に敏感に反応することで起こります。
気圧の場合は、内耳という三半規管の辺りが過敏すぎると少しの気圧の変化も脳へ過剰に伝達してしまいます。その圧の変化が頭痛を引き起こすと考えられており、低気圧が最も頭痛持ちの方には気をつけなければならいと考えられていました。
しかし、2019年のHarvard大学での大規模な研究結果から現在では、高湿度>低気圧>高温の順で頭痛を起こしやすくなることがわかりました。
湿度は70%以下(人が快適に感じる湿度は40〜60%)をメインに維持して下さい。28℃とかの温度設定よりも湿度の方が大切ですので、冷房よりもDRY優先です。
次回は「そもそも、夏バテって何?」と頭痛から少し離れますが、説明します。