小児の片頭痛にも、頭痛発作前の予感はあるの?
片頭痛の方にとっては、今から頭痛が起きますよサインの予感(予兆)がほとんどの方に存在します。"予兆"は厳密には"前兆"とは異なります。前兆とは視覚的前兆(閃輝暗点以外にも)、感覚障害(チクチク感が片側の顔面から半身にまで及ぶことがあります)、言語障害(失語といって、言葉が出なくなることが多いのです)、運動麻痺、脳幹性前兆(特殊なもので回転性めまいや難聴、意識がもうろうとすることもあります)があり、頭痛発作の直前に起こります。前兆は5?60分持続する事が通常で、極端に短いもしくは数時間も持続する前兆様の症状の場合は、他の脳疾患が隠れている可能性もありますのでご注意下さい。一方、予兆は頭痛発作の数時間?2日前位から起こることがあり、永年に渡り片頭痛とお付き合いされている方でも全ての予兆を把握できていないことがあります。
今回は、その予兆に関するお話です。今でも医師や医学部生が使用する教科書には、小児の片頭痛の特徴として、①頭痛発作持続時間が成人の片頭痛と比べて短く4~72時間、最近では10分以下も多い(コラム49を参照して下さい)、②起床時から痛いことが多い、③片側性が多い、④拍動性が多い、⑤頭痛発作中の吐き気か嘔吐・光過敏&音過敏のうち一つを認める、⑥予兆がないことが多い、とあります。
しかし、2017年にはUKロンドンから、2018年にはデンマークやカナダから小児にも沢山の予兆を認めることが報告されています。大切な予兆のみだけですが報告例で多い順に列記しますと、
全身倦怠感
気分の変調
首コリ
生あくび
集中力低下
めまい(ぐるぐる回るめまい)
目が霞む、ボヤーッと物が見える
頻尿
イライラする
記憶力低下
喉の渇き
顔が蒼ざめる、血の気が引く
泣く
眠くなる
身体がポッポッする
吐き気、嘔吐
お腹の違和感
唾液が増える、ヨダレ
食欲低下・・・とあります。
日本での詳細なデータはなく、当院でもまだ数十名ですが片頭痛発作の前に予兆?、予感など全くないですよ!と仰られた小児片頭痛の親御さまに上記のアンケートを取らせて頂くと、驚くほど沢山の予兆がありました。
詳細な結果はまた、コラムで報告させて頂きますが、お子様が片頭痛で困っていらっしゃるのであれば、予兆を親御さまがご存知いらっしゃるか否かで対処法も変わってきますので、一度、お子様の片頭痛発作前後を良く観察されてみて下さい。