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振動過敏?

Dr.丹羽の頭痛コラム

片頭痛持ちの方は光や音過敏性の他に、気圧や天候などにも非常に敏感です。地震予知型頭痛なるものも存在します。東日本大震災の前に頭痛が明らかに悪くなった方もいますし、海外でも同様の報告があります。様々な説がありますが、一般人では感じ得ない微細な変化を片頭痛持ちの方ならば捉えることが可能なのでしょう。
我々は音を振動として聞いていますが、音過敏がなくとも振動過敏は存在するのでしょうか?
つまりは身体で感じる振動は音過敏の延長線上の問題なのか、全く違う観点から考えるべきなのか?
色々と検索してみましたが、振動過敏なるものの報告はありませんでした。ちなみに地震予知型頭痛はどのような機序で起こるのかと申しますと、1988年にMorton医師が、地震の前には陽イオンが出てそれが血管に作用して頭痛が起こると報告しています。つまり、陽性イオンが増加することにより、脳内のセロトニンレベルが低下して片頭痛を発症する可能性が示唆されています。
地震の少し前から岩盤が割れて大気中に陽イオンが増えるために、本邦でも阪神淡路大震災の時に神戸の大気中の陽イオンが高かったことが報告されています。つまり、この陽イオン増加という微々たる変化に対してさえも、片頭痛持ちの方は脳が、そして身体が、反応してしまうという敏感な方達なのです。ただ、この反応からでは振動過敏との関連性には辿り着くことはできませんでした。
そこで私はある機械(詳細は内緒です)を用いて、様々な条件下による振動・周波数の違いに不快感や片頭痛発作の悪化が認められるか否かを音過敏がある方、ない方に分けて検討を始めました。既にある程度のデータは集まって来ており、傾向も分かってきています。詳細はまだ、研究途中のため説明できませんが、音過敏があろうとなかろうと振動過敏は存在して、ある振動数で片頭痛が悪化もしくは発症しやすい傾向にあることまで突き止めました。新型コロナの情勢にも依りますが、この結果は数年以内の国際学会で報告する予定です。