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歌舞伎でも頭痛が・・

Dr.丹羽の頭痛コラム

毎年新春に歌舞伎を観に行くのですが、今年は黙阿弥生誕二百年という事もあり、
「小春穏沖津白狼」という幻の傑作でした。
白狼は義賊のことで、月本家家宝の「胡蝶の香合」なるものを、お家乗取りを企む輩から、天下の大盗賊・日本駄右衛門、女盗賊・船玉お才、狐の妖術を自在に操る盗賊・小狐礼三が力を合わせて月本家のために取り返すという勧善懲悪ものでした。
新春ということもあり、通常の歌舞伎では観られない礼三の大立ち回り、シルクドゥソレイユ顔負けでした。
しかし、私が気になってしまった箇所はそこではなく、
礼三が他人に成り済まして吉原で芸者遊びの場面でした。
吉原のおいらん、みゆきが酷い頭痛持ちで、良く効くまじないを受ける場面です。
この呪い師は実は女盗賊・船玉お才なのですが、
「3日もお地蔵様にお参りすれば治る。頭を下げない様にする。」とまじないをします。
みゆきおいらんも「まじないは騒がしいところでされるのは、頭痛が更に辛くなる」というのです。
150年以上前の誰かを題材にしているのかもしれませんが、このおいらんは片頭痛持ちだったのでしょう。
頭を下げると痛みが増す点、騒がしいところが苦手な点、3日で治ると呪い師が断言した点は片頭痛にピッタリです。
一流の作者は、ほんの1シーンに過ぎず、本題にもあまり関係ない些細な点まで完璧に描写していることに感動を覚えてしまいました。
今年は強い光や嫌な色は見ざる、うるさい音は聞かざる、ストレスになることは言わざる、で頭痛の少ない年にして下さい。