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脳動脈瘤が見つかったら・・・

Dr.丹羽の頭痛コラム

頭痛をお持ちの方や頭のご病気が心配になると皆さん、高額な費用をお支払いして脳ドックなるものをお受けになられていますよね?
その際に"脳動脈瘤"、つまりは頭の血管のコブを指摘され、私の診察時に、脳 2時限爆弾が見つかった!、放置したらクモ膜下出血になってしまう!・・・などと、慌ててしまう患者さんの話を良くお伺いします。
脳ドックの普及で、未破裂脳動脈瘤を早期に発見できることは非常に有意義なことですが、全てが破裂する訳ではないので、もしも、MRI検査で"脳動脈瘤"を指摘されたら、必ず撮影した全てのMRIをCD-Rにコピーしてもらい、そのMRIを脳神経外科もしくは脳神経内科専門医にお見せになって下さい。
クモ膜下出血に関しましてはコラム(61)でお話ししておりますのでご参照頂きたいのですが、経過観察をしておけば良い"脳動脈瘤"も沢山ありますので、早急に手術の決断は不要です。何せ、50歳以上の未破裂脳動脈瘤の有病率は3.2%と決して珍しいことではありません。
さて、本題の"脳動脈瘤"ですが、簡単に言えば大きくなるほど破裂しやすく、形がいびつであるほど破裂しやすくなります。脳動脈瘤ができやすい部位として、内頚動脈ー後交通動脈、前交通動脈、中大脳動脈、内頚動脈、脳底動脈などがあります(医学部の授業ではありませんので覚える必要はありませんが、発症部位はとても大切なのでメモに記載してもらいましょう)。
一概には言えませんが、7mm以上の脳動脈瘤、7mm以下でも内頚動脈ー後交通動脈、前交通動脈など細い動脈に生じた脳動脈瘤、脳底動脈瘤、5mm以下でも形がいびつな脳動脈瘤は手術の適応となります。
2012年に報告された日本人の脳動脈瘤の研究(UCAS study)では5mm以下の脳動脈瘤に比べて、7mm以上では3倍、10mm以上では9倍、25mm以上では76倍、破裂率は高くなります。
大切な事は、たとえ5mm以下の脳動脈瘤でも、全体の2%程度は大きくなったり、形が変わってしまいますので、年に1回はMRIやCTで血管を見るMRA、3D-CTAという検査をお受けになると良いと思います。医療機関によっては3ヶ月とか半年に一度の検査と言われるかもしれませんが、破裂しそうになければ年に一度で十分です。
手術には開頭手術と血管内治療がありますが、最近は身体へのダメージが少ない血管内治療が急増しています。しかし、治療に伴う様々な合併症には差がありませんので、手術をお受けになる際は、主治医の先生から良く説明を聞かれて、合併症までも考えた手術法を選ぶようにして下さい。