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薬物乱用頭痛という病名を聞いたことがありますか?(其の二)

Dr.丹羽の頭痛コラム

薬物乱用頭痛についてはご理解頂けましたでしょうか?
では、どうやって薬物乱用頭痛から離脱するか?が一番の問題になってきます。要は原因となっている頭痛薬を一切、服用しない様にすることです。
ただ、イブを乱用していたから今度はバファリンで・・・は、通用しません。同種同効薬は変更した事になりません。また、違う系統の頭痛薬に変更しても、恐らくは新しく服用した薬剤の薬剤乱用頭痛にほとんどの方が陥ります。でも、一切服用しないで我慢するのは辛いものです。
では、どうすれば良いか?
それは信頼がおけて、絶対に治してくれると期待できる頭痛専門医をみつけることに尽きます。
信頼関係が薄い医師には、この頭痛の治療をお願いしない方が良いと思います。
元々、なぜ、薬剤乱用頭痛になってしまったか?を考えれば、当たり前ですが、辛い頭痛が多いからです。だから、頭痛薬を飲む。飲んでいたら、薬剤乱用頭痛になってしまったという経緯でしょう。
何も服用せず、頭痛は我慢の一点張りできる方は薬剤乱用頭痛にはなりません。ですが、頭痛薬を全てを取り上げるというのは難しい。ここで医師との信頼関係が大切になってきます。
ご自分でも飲み過ぎと分かっていても、何となく良くなる、もしくは良くなった感じがする頭痛薬を取り上げられて、頭痛の時は我慢させられて、どうしてものレスキューの時にも大して効き目のない薬を飲まされる。
一日の大半は頭痛の事ばかりを考えて・・・という状態は、薬物乱用頭痛の方が離脱する際には必ずと言って良いほど、経験されています。
こんな時に「大丈夫かな?、頭が痛いのに、逆に薬をやめちゃって本当に治るのかなぁ?」と、少しでも担当医の事を疑うようでは、この頭痛から離脱は難しいと私は思います。
頭痛発症を抑える予防薬の服用や生活習慣を見直すのは大切な事ですが、頭痛発症が起きた時に「◯◯先生が頭痛か起きても心配ないから。◯◯先生の言う通りに頑張れば、必ず治る」位の気持ち、医師との信頼関係がないと薬物乱用頭痛からの離脱は困難なのです。
2016にCephalalgiaという頭痛のトップジャーナルに、イタリアの頭痛チームから248名の薬物乱用頭痛の報告がされていました。
薬物乱用頭痛から離脱できて頭痛が激減したグループ(*\(^o^)/*群:156名)と薬物乱用頭痛から離脱出来なかったグループ((???)群:23名)と薬物乱用頭痛から離脱はできたが慢性頭痛の状態(つまり、頭痛薬は我慢できるようになったが、頭痛はほとんど毎日のようにある)のグループ((・・;)群:51名)の3群に分けて検討しており、基盤にはほぼ100%、慢性の片頭痛があり、慢性の緊張型頭痛だけによる薬物乱用頭痛の人はいませんでした。
全ての群で不安症状やうつ傾向、情緒不安定、妄想的、精神的衰弱、性格が皮肉っぽくなったり、悲観的になったりと様々なメンタル系の症状が出ますが、(???)群ではどのメンタル症状も強く、*\(^o^)/*群が(・・;)群より良かったものの、*\(^o^)/*群でも(・・;)群でもメンタル症状は改善していました。
つまり、薬物乱用頭痛から離脱できると、たとえ慢性頭痛が残存してもメンタル的にも安定して、不安症状やうつ傾向も楽になるのです。薬物乱用頭痛の状態では、頭痛は治らないし、メンタル的にも不安定のままなのです。
ストレスの多い現代社会で、かつ、容易に頭痛の市販薬が入手できる現状では、薬物乱用頭痛に陥ってしまうのは致し方ない事なのかもしれません。
でも、そうなった際には、時間がかかっても本当に信頼できる主治医を見つけることが一番の治療法になるのです。