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頭痛とめまいって関係あるの?

Dr.丹羽の頭痛コラム

片頭痛持ちの方は、今までにめまいを経験された記憶をお持ちの方が決して少なくないと思います。片頭痛とめまいは別物と考えられている方や、かかりつけ医より片頭痛は片頭痛として、めまいはめまいとして治療を受けられている方もいらっしゃるかもしれません。特に日本語の"めまい"という表現は非常に曖昧で、回転性めまいや浮動性めまいだけではなく、立ちくらみや気が遠くなる感じ、酔った時の千鳥足の様な状態も皆さんはめまいを感じたと表現します。片頭痛をお持ちのお子さんでは起立性調節障害による立ちくらみが、女性では起立性低血圧や生理時の貧血による立ちくらみをしばしば併発しますので、この立ちくらみを片頭痛+めまいと勘違いしないで下さい。
しかし驚くことに、片頭痛患者さんの70%近く、それも多くは女性に、何らかのめまいを発症しているのです。理由は定かではありませんが、片頭痛発作に深い関わりを持つ三叉神経とめまいの原因となる前庭神経は近くにあり、三叉神経が興奮すると前庭神経も影響を受けるためと考えられています。
しかし、ここで用心したいのが"脳幹性前兆を伴う片頭痛"です。この片頭痛は、構音障害(呂律が回らない)、回転性めまい(60%以上に認めます)、耳鳴り、難聴、複視(物がダブって見えてしまう)、運動失調(力は抜けないのに動作のバランスが取れなくなる)、意識レベル低下のうち2つ以上が5~60分持続し頭痛を発症するタイプです。この脳幹性前兆を伴う片頭痛では、頭痛発作時にトリプタン製剤を使うことは脳梗塞の危険性があるため、禁忌とされています。
しかし、片頭痛に関連しためまいには前庭性片頭痛というものもあり、回転性めまいや浮動性めまいを繰り返し、めまいの50%以上に光過敏や音過敏などを伴った片頭痛発作を起こします。前庭性片頭痛の方は乗り物酔いしやすく、耳の閉塞感を伴うことも多々あります。めまいの持続時間は様々で、患者さんの30%は数分、30%は数時間、30%は数日、残りの10%は数秒程度を頭位変換(頭の位置を変えた瞬間)時に何度も繰り返します。
前庭性片頭痛は、脳幹性前兆を伴う片頭痛より20倍も頻度が高いという報告もありますが、トリプタン製剤を使えるか否か!という大きな違いがありますので、めまいを良く自覚される片頭痛の方は、しっかりと診断してもらって下さい。
また、お子さんで"良性発作性めまい"と診断されている場合、もしくは診断されていなくとも、前触れもなく回転性めまいが突然起こり、数分?数時間で自然消失することを5回以上経験している場合は、現在、頭痛が全くなくとも、将来、片頭痛になる可能性が高いので、親御さんはご注意を!