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103「新型コロナ&頭痛の比較」

Dr.丹羽の頭痛コラム

「新型コロナ感染者の頭痛の特徴」を2021/11に開催された第49回日本頭痛学会総会で川口Dr.&丹羽が報告

  日本(東京頭痛クリニック) イタリア(コラム95)
新型コロナ感染者の頭痛発症率 70/138例(50.7%) 99/145例(63.6%)
性差・年齢 35歳前後の女性に多い 40歳前後の女性に多い
発作時間    
今まで頭痛の経験のない人 24時間以上が多い 数分~6時間以内が多い
片頭痛が基盤にある人 6時間以内が多い 6~24時間が多い
頭痛部位・性状    
両側性 54.3%(前頭部か頭全体) 86.9%(前頭部か頭全体)
非拍動性(ズキズキしない) 53.8% 85.9%
吐き気 32.9% 21.2%
痛みの程度 中~重度(72.9%) 中~重度(89.9%)
起床時の頭痛 41.4% 18.2%
頭痛の引き金 発熱だけ 発熱だけ
頭痛の発症時期 他のコロナ症状(発熱、咳、倦怠感、嗅覚・味覚障害など)と同時、もしくは頭痛が一番目の症状であることが45.7% 他のコロナ症状と同時、もしくは頭痛が一番目の症状であることが71.7%
増悪因子 日常動作(48.6%)、咳、疲労が85.7% 日常動作(45.5%)、咳、疲労が約50%
随伴症状 光・音過敏、吐き気(32.9%)、睡眠妨害が81.4% 光・音過敏、吐き気(21.2%)、睡眠妨害が約20~30%
片頭痛が基盤にある人の頭痛発症確率 片頭痛が基盤にない人の2.5倍以上 片頭痛が基盤にない人の5倍以上
片頭痛を経験している人が「いつもと全く違う頭痛であった」と回答したのは 79% 92%
酸素飽和度(SpO2≧95%が正常)の低下 頭痛と無関係
→酸素不足は頭痛の原因にならない
頭痛と無関係
→酸素不足は頭痛の原因にならない
CRPや白血球数(急性炎症の指標) 頭痛と無関係
→炎症と頭痛にも関連性はない
頭痛と無関係
→炎症と頭痛にも関連性はない
コロナ感染後に頭痛を起こした人は頭痛を起こさなかった人に比べて 発熱(98.6%)、筋肉痛(11.4%)、味覚障害(30.0%)、易疲労感(95.7%)を伴うことが多い 発熱(76.8%)、咳嗽(74.8%)、嚥下痛(39.4%)、胸郭痛(55.6%)、筋肉痛(65.7%)、嗅覚障害(49.5%)を伴うことが多い
頭痛を起こした人は起こさなかった人に比べて 予後良好(入院は4.3%、死亡は0%) 予後良好(入院は8.0%、死亡は0%)

分かりやすくまとめますと、COVID-19感染時に・・・
① 50.7%のCOVID-19感染者に頭痛を認めました
② 頭痛の程度は予後(感染後に悪くなるか否か)に関係しません
③ 頭痛はCOVID-19罹患時から認めることが多いようです
④ 頭痛の性状として、片側性、非拍動性、激痛であるが短時間の事が多く、吐き気は伴わないことが多いようです
  ★片頭痛を経験している79%(22/28例)が「今まで経験したことがない頭痛」と回答しされています
⑤ COVID-19感染症状として発熱、咳嗽、倦怠感を併発することが多いようです
⑥ 皆さんが最近気にされている酸素飽和度(SpO2)の低下や採血上炎症反応や血液凝固系には異常を来たさないことが多いようです