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CGRPって?

Dr.丹羽の頭痛コラム

現在、世界中で片頭痛の治療と言えば、痛い時に服用する頓挫薬(急性期治療薬)としてのアセトアミノフェン(カロナールやタイレノール)、非ステロイド系消炎鎮痛薬(市販薬、ロキソニン、ボルタレン、イブプロフェンなど)、エルゴタミン製剤(クリアミンなど)、トリプタン系薬剤(イミグラン、ゾーミッグ、マクサルト、レルパックス、アマージ)と予防薬(片頭痛発作を起きにくくするために毎日、服用する)のコンビネーションだけでした。
今年になり、本邦でも片頭痛発作の大きな一因と考えられているCGRPというペプチド(アミノ酸のかたまり)をやっつけて片頭痛発作を起きにくくする予防薬の治験が始まりました。細かく説明するとCGRPが神経に作用できなくなる様にする抗CGRP受容体抗体とCGRP自体の効果をなくす抗CGRP抗体の治験(2種類)があります。
簡単に言えば、今までの頓挫薬は痛くなってから少しでも早く良くする薬で、統計によれば50%の確率で恩恵を受けることができていました。ということは、副作用の問題もありますが50%の人は我慢していた事になります。
合計3種類のCGRPを作用させなくする予防薬は全て1回/月の皮下注射になりますが、非常に効果が高く、この5年間で片頭痛治療が変わるとまで専門家の間では考えられている薬剤なのです。
残念ながら、3種類のCGRPを作用させなくする予防薬全てを使用できる医療機関は、日本全体で10ヶ所程度しかありませんが、当院はその1つに選出されています。
頓挫薬も予防薬もあまり効果がない重い片頭痛持ちの方にも奏効する治療薬です。
今回はコマーシャルになってしまいましたが、この時を逃すとCGRPに対する治療薬を実感できるのは5~6年先になってしまいます。
片頭痛治療でお困りの方は、今しか新薬を実感できる時はありません。
今月に開催された第44回日本頭痛学会総会でも、日本の頭痛専門家や欧米の頭痛専門家の間でCGRPの話で持ちっきりでした。
片頭痛持ちの方の一助になれば幸いです。
コラム(57)国際頭痛学会 in Vancouver(その3)でCGRP続きの情報です。