COVID-19感染による頭痛
今までもいわゆる普通の風邪では頭痛は起きず、インフルエンザが「頭痛風邪」の代表でした。
ところが新型コロナウイルス(COVID-19)感染症も頻繁に「頭痛」を伴うことがわかってきました。
2020/11にイタリアの頭痛専門研究グループより詳細な報告がされています。現在までの報告ではCOVID-19感染による頭痛の発症率は様々で8.0~71.1%とバラつきが多かったのですが、詳細に検討した今回のイタリアからの報告では68.3%のCOVID-19感染者に頭痛を認めていました。
その特徴としては以下の通りでした。
①40歳代前半の女性に多かった。
②頭痛の持続時間は片頭痛が基盤にない方は数分?6時間以内、片頭痛が基盤にある方は6~24時間と全く異なっていたが、1日以上持続する方が少なかった。
③頭痛の部位としては両側性が86.9%と多く、前頭部か頭全体が痛む方が多かった。頭痛の性状としては非拍動性(ズキズキしない)が85%以上で、吐き気もないが、痛みの程度は中程度から重度の方が多かった。起床時に頭痛がある方は15~20%程度のみであった。
④頭痛の引き金になった症状は発熱だけで、他のCOVID-19感染症状(咳、倦怠感、息切れ、嗅覚・味覚障害など)と同時もしくはどの症状よりも早く頭痛が起る傾向にあった。
⑤頭痛の増悪因子としては日常動作、咳、疲労が約50%の方に、光・音刺激、吐き気、睡眠妨害が約20~30%の方に認められた。
⑥片頭痛が基盤にある方は片頭痛が基盤にない方に比べて、COVID-19感染中に頭痛が起こる確率は5倍以上と高かったが、片頭痛を経験している92%もの方が、「いつもとは全く違う頭痛であった」と回答している。
⑦酸素飽和度(SpO2:呼吸器疾患を疑う指標で、正常は95%以上)の低下と頭痛は無関係であった。つまり、酸素不足が頭痛の原因にはならないと考えられる。
⑧血液検査異常値とも頭痛発症は無関係であり、炎症状態と頭痛にも関連性がないことになる。
⑨COVID-19感染後に頭痛を起こした方は、頭痛を起こさなかった方に比べて発熱、嚥下痛、胸郭痛、筋肉痛、嗅覚障害を伴う方が多かった。また、頭痛を起こした患者さまの方が自力歩行で受診された(つまりはストレッチャーなどで救急搬送されなかった)割合が高かった。
以上から、頭痛の性状や持続時間からもCOVID-19感染をある程度疑うことも可能ですが、何故、COVID-19感染により頭痛何起きるのか?、頭痛のある風邪(ライノウイルス感染症)やインフルエンザ感染症時の頭痛と同じようにインターロイキン(IL)、特にIL-1β、IL-6、IL-8などの炎症性サイトカインが関与したのか、片頭痛のような三叉神経を介しての頭痛なのかはわかっていません。
2021年中にCOVID-19に対する安全なワクチンが確立され、インフルエンザ感染症のように特効薬ができることを祈念するばかりです。
新型コロナに負けずに今年も頑張りましょう!