Lasmiditan
以前にもコラム(72)でご紹介させて頂いたLasmiditan、2022/1/20に世界初の5-HT1F受容体作動薬であるDitan系薬剤(欧米の頭痛専門医はダイタンと発音していましたが、日本ではジタンと読むらしいです)の「レイボー®️」が承認されました。
実際に皆さんが服用できるのは数ヶ月先になると思いますが。
「頭痛を起こす稀な脳神経疾患」を紹介中ですが、今回だけ特別に報告します。
片頭痛の急性期治療薬であるトリプタン系薬剤、つまり、イミグラン®️、マクサルト®️、レルパックス®️、ゾーミッグ®️、アマージ®️は特効薬ではありますが、この薬剤が全く効かないというnon-responderは片頭痛持ちの約1/3の方に存在します。
復習になりますが、トリプタン系薬剤とはセロトニン受容体の1B受容体賦活(血管収縮作用)と1D受容体賦活(炎症抑制作用)を併せ持つ薬剤になります。血管収縮作用がありますので、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを患われた方や特に日本人に多い「もやもや病」をお持ちの方、特殊な片麻痺性片頭痛の方はたとえ奏効しても服用ができません。
そこに登場したのがレイボー®️で、セロトニンの1F受容体を賦活する薬剤です。1F受容体を賦活しても血管収縮は生じないため、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、もやもや病、片麻痺性片頭痛の全ての方が服用可能となります。
統計によれば、トリプタン系薬剤のnon-responder+服薬不可の方が片頭痛持ちの50%も、恐らく500万人もいると考えられますので、レイボー®️の必要性は大変高いと考えられます。
用法用量としましては、成人には1回100mgを片頭痛発作時に経口投与をします。ただし、片頭痛の状態に応じて1回50mgまたは200mgを投与することができます。
副作用としましては、浮動性めまいが18.66%、傾眠が6.85%もあるのが難点ですが、片頭痛発作時に短時間の睡眠を取らないとなかなか治らない方も数多くいらっしゃいますので、その様な方には副作用を逆手に取って使い勝手が良い薬剤になります。
また、片頭痛発作が夜に起こりますと、「寝れば良い」と考えいる方が多いのですが、この様な時もレイボー®️を服薬してからお休みになると良眠を得られて翌日の朝が楽だったという方もおられます。
しかし、用量依存的に副作用の発現割合が高くなる傾向がありますので、ご注意下さい。
最も気になることですが、トリプタン系薬剤のresponder(つまり、トリプタンが奏効する方)とnon-responderの方におけるレイボー®️の効果に差があるか否かにつきましては、既に海外の大規模な研究(米国のSPARTANやSAMURAI、日本を含まれておりませんが多数の国が参加しました国際的なCENTURION試験の詳細な解析において、トリプタン系薬剤のresponder でもnon-responderでもレイボー®️の有効性が認められ、かつ、resnponderとnon-responderを比べても効果差はなかったという結果でしたので、期待大ですね!